制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はボカロ調教です。
【フルコーラスに仮拡張】
が、本題に入る前に、まずフルコーラスに仮拡張したバージョンを貼ります。
ワンコーラスの基本アレンジパタンをそのままコピペして、
最低限の調整をしてムリやりフルコーラスにしたものです。
ボカロはフルコーラス分入れました。
要するに、調教前の"Before"がコレ、ということです。
ソロやエンディングはちゃんと作りこんでないので間延び感ありますが...
まずはVocalアレンジを先にやるのでおいておきます。
プロなんかはVocal入れは最後にやる人が多いようですが、
ボクは、オブリガードやフィルインをつける前にVocalの作りこみを必ず先にやります。
なぜかというと、
1) 反復コーラスやブレスを聴かせたいところは先に入れたい。
オブリガードやフィルインを先に入れると、邪魔になってしまうことがある。
プロはそこを想定して空けておくんだろうけど、ボクは入れてないとわかりにくくて...
2) ボーカルがしょぼいとアレンジのモチベーションが上がらないんで、
先に調教をやっていい感じにしたい。
というわけです。
【V4で入力してV5に変換する】
ここまでのボカロはV4X(ボカキュー)で仮入力したもの。
本格調教はV5に変換してやります。
なぜ最初からV5でやらないかというと、
1) ノートの入力、コピペは、ボカキューの方が圧倒的にパフォーマンスがよい
2) 歌い手さん用のガイドメロディはV4Xのボカキューのデータを変換すれば一発でできる。
V5からMIDI逆変換できないので、先にV5に入れてしまうと、ガイドメロ用にもう一回
打ち込みしないといけないので面倒
という事情があります。
だったらV4Xのままでいいのでは? と思うかもしれませんが、
V5の方が調教作業は楽で、音質もいいので最後はV5を使いたいのです。
【調教作業の大きな流れ】
1) スタイルプリセット適用
2) 母音、撥音の調整
3) カラーを音程に合わせて変動
4) ノート長の調整とビブラート
5) しゃくり、語尾上げ、ピッチ変化
6) Mouthでアクセントを表現
7) 子音の強さの調整
1つ1つ簡単に解説します。
【 1) スタイルプリセット適用】
今はこの設定で固定化してる。
ここに至るまではいろいろと試行錯誤したけど...
結局好みの問題だから、いろいろいじって自分の好きな設定を確認するしかない。
V5内蔵のエフェクトはイマイチ音が悪くてEQ以外は基本オフ。
【 2) 母音、撥音の調整】
この調整は、V4Xで仮入力する時点でやってしまうことが多いです。
直さないと不快感ありありなので。
今回も"Before"の段階で直してしまってます。
母音の調整とは、例えば「野生」を「やせい」「やせえ」「やせー」
のどれにしたら、自分のイメージに合うのか、確認して調整していく作業。
漢語熟語を使うとよく発生する。
一概に法則性はなくて、どう歌わせたいかで決める。
今回は、あまり漢語使ってないけど、「自由」を「じゆー」、
「宇宙」を「うちゅー」にしてます。
撥音の調整とは、
「うっとおしい」「ほっといて」を、
「ううっとおし」「ほおっといて」として、「っ」の長さを短く調節したりすること。
歌詞の字のとおりだと棒読み感が出るけど、こうすることで、歌らしくなります。
Vocalistによるけど、「ううとおし」「ほおといて」というようにほとんど
「っ」でつまらせない人もいますね。
僕はその都度個別調節してます。テンポにもよるみたいだし。
【 3) Characterを音程に合わせて変動】
高い音のCharacterを上げ、低い音のCharacterを下げるとらしくなります。
一音一音で変化させると面倒なので、だいたい音域を3つに分けて直します。
今回は
B♭3~D4:+8
D3~A3 :±0
A2~C3 :ー8
にしてます。
フレーズの中で入り乱れることもあるけど、このとおりに正確に直します。
【 4) ノート長の調整とビブラート】
僕はビブラートはかかりすぎると気持ち悪くなる派なので、薄くかけます。
Attack and Release Effectの"Slight Vibrato"しか使いません。
しかも、ノート全部にかけるとしつこいので、ノートを前半と後半で分割して後半のノートにだけかけます。
どのくらいからビブラートが始まるとイメージに合うか聴いて分割位置を個別に調整します。
ビブラートを使わないノートも、スパっと切るのか伸ばすのかでニュアンスが変わるので、聴いて全部調整します。結構ハンパな長さにすることもあります。
【 5) しゃくり、語尾上げ、ピッチ変化】
しゃくりは、しゃくらせたい部分をまず選定して、決めたら
ノート分割か、Attack and Release Effectか、個別ピッチ調整かを試行錯誤して
一つ一つ個別に調整します。
分割の場合、どのくらいの長さにするか、
Attack and Release Effectの場合は種類、
個別調整のときには具体的な波形を試行錯誤して調整します。
ボクはオートチューンをかけっぱなしにして軽くケロらせるのでノート分割でぴょこっと上げてしまうことが多いです。
語尾上げは、アイドルみたいに語尾だけ裏返るやつ。
V5のAttack and Release Effectだとぜんぜんらしくならないので、ノート分割で
ぴょこっと上げて作ります。
今回の曲では適用してません。
その他のピッチ変化は、しゃべり言葉のようなニュアンスを出したいとき。
今回、一箇所だけやってます。
これも個別調整で試行錯誤です。
【 6) Mouthでアクセントを表現】
Mouthはデフォルト値127でフルオープンなのですが、以下のようなケースで119か111に下げます。
1) 無声母音に近い状態で弱めたいとき (キ、ク、シ、ス、チ、ツ、ヒ、フ)
2) 漢字の音読みの後ろのノート (「後悔(コオカイ)」の場合、オとイ)
3) 助詞や助動詞。ただし、強調したいときもあるので個別判断。
4) その他、単語でアクセントがない部分
でも、これに該当しても下げない方がいいときもあります。
音程が上がって伸ばすようになっているときなんか。
個別に判断して下げるかどうか決めてます。
実は、僕が最も重視しているのがこれ。
しゃくりはやってる人多いと思いますが、コレは意外とやってない人が多いみたい。
でもこれやるのとやらないのとで、ぜんぜんVocalの抑揚が違います。
ケロ声でも日本語でも相当ニュアンスが変わります。
やってない人は是非お試しください。
ちなみに、英語の調教については過去に記事を書いてるので、こちら
#259 Vocaloid 英語調教のポイント大公開 - ColoFusion公式! 中の人=点五P
をご参考に。
英語の方がこのアクセント調整はさらに重要です。
【 7) 子音の強さの調整】
子音が弱いときはVELを下げ、強すぎるときは上げて調整します。
GUMIはもともと舌足らずで、そこが魅力なところもあるんで、
僕はあまり厳密には直しません。だいたい一曲中で2~3箇所程度。
それもカンペキには直んないんであきらめてますw
で、調教出来上がった音源はコレ!
どうですか? 調教によってかなりニュアンス変わったと思います。
とくにサビがヤバい!!
結構手間はかかります。ぶっ通しでやっても丸2日くらいはかかりそう。
でも、それだけの価値はあると思ってます。
いかがでしょう。参考になりました?
次回はコーラスとVocal MIXです。
ここのところ、週に2回更新してきましたが、次回はちょっと間があくかも...
というのは、この部分は苦手意識が合って、まだ人に教えられる状態ではないのです。
見直しながらやろうかと思っているので。
少々お待ちください。
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