ボカロPがアラカンで何が悪い! = 点五P公式

アラカン ボカロPの活動奮闘記!

#317 マスタリングエフェクトの工夫点

ずいぶん間が空いちゃってごめんなさい。
今日はマスタリングエフェクトの話です。

【基本的ポリシー】
ゼロから独学で設定するのはムリと思い、書籍を買って、
ほぼそのとおりの設定にしています。この本です。

www.minet.jp

この本には、Wavesを使った、ジャンル別のMIX/マスタリング設定例が、
数値例とその理由の解説付きで載っています。
ボクはこの本の「ダンスミュージック」の設定例をほぼそのまま使っています。

結構な値段のする本で、しかも使うのは一部だけ
(他のジャンルの部分は見ない)
ですが、それだけの価値はありました。
ボクがWaves Diamondを買ったのもこの本の存在が大きいです。

この本を買うまでは、ネットや雑誌に解説された設定例をごちゃまぜにして
取り入れ、自分の感覚で調整してましたが、素人がそんなことをやっても
クオリティは上がらない、と気づきました。
そもそもいろんな人がいろんなジャンルを想定した設定例がごちゃまぜになり、
しかも順番も自分の判断で適当にやってるんだから、目指す音になるわけない。

この本の設定をベースにして以来、マスタリングで悩むことは一切なく、
全く時間がかからなくなりました。

いろんなエフェクトや本を買ったり、講座を受けるより、
この本とWavesだけあればすむので、コストはかえって安いかも。

しかし、何のエフェクトをどのように使ってるかをここに書いてしまうと、
ネタバレどころか、著作権法違反で捕まります
ので、残念ながら書けません。
気になる方は是非この書籍の購入をご検討ください。

ハイ、終わり!

だと、何のノウハウの共有にもならないんで、他にマスタリングエフェクトで
工夫していることを書きます。


【プレマスタートラックの導入】
WavesNLSというアナログコンソールシミュレーターを使ってますが、
このエフェクトは、マスタートラックと各音源のトラックの両端に設定
する形なので、処理能力がぶっ飛びそう、と考え、インチキな方法を考えました。

マスタートラックの前段にプレマスターというBUSトラックを挟んで、
Vocal、オケの中間BUSはプレマスターの方にインプットします。
そしてこのプレマスターとマスターの間にだけNLSをかけています。

まあ、これで効果が半減しちゃってるかもしれませんが、処理能力を
考えるとやむを得ないかなとw
基本的なマスターエフェクトはプレマスター側にかけてしまい、
最終マスターでは、EQ、リミッター、アナライザーだけにしています。


【ゲートの導入】
何の音も出していないのに、サーっという雑音がどうしても出ていました。
多分PCの電源回路かなんかの雑音だと思います。
各BUSトラックとマスター、プレマスターの最終段に
Cubase付属のエフェクト「Gate」SRESHOLD -60dBで設定したところ、
ほぼ完全に除去できました。


【ターゲット曲とのEQ差分を考慮】
コレが今日のメインですね。
プロの設定例を書籍のとおりに設定すればそれでカンペキか、
というとそうでもありません。やはり、目指したいターゲット曲の
雰囲気と微妙に違う感じがどうしても出ます。

そこで僕は、ひととおりアレンジを終えた自分の曲の周波数特性と、
ターゲット曲の周波数特性をそれぞれアナライザで測定して、
その差分を調整するEQを付加してます。

大変そうに思えるかもしれませんが、Waves PAZモニターのPeak-Hold
というモードで測定した各周波数別音量レベルがテキストで出力でき、
それをエクセルに入れると差分のグラフができるようにしてあるので、
楽に調整できます。
コレは5月にアップした、「キミガ、ウスク、キエテク...」のリメイク版と
とあるターゲット曲の差分ですが、こんな感じ。

 

f:id:dekunobobenkay:20201028230836j:plain

どの辺が出過ぎていて、どの辺が引っ込み過ぎか、一目瞭然で、かつ数値的に
明確になります。
手間は若干かかりますが、手探りでやるより確実で早いです。
コレを導入したことで、目指す音に調整することが簡単にできるようになり、
サウンドのクオリティが格段に上がりました。


だいたい共有できるノウハウはこんなところです。
いかがでしょうか?

次回はいよいよ新曲の制作陣、曲の概要、イラストの紹介、アップスケジュール
のお知らせです。

お楽しみに!


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#316 ギターソロの作り方

制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はギターソロの作り方です。

かなり苦戦しました。
最初はシンセソロを中心にしてギターをちょろっと入れる程度のつもりだったんだけど、カッコいいシンセソロができず...

やっぱり「EDMやる!」とは言っても所詮はオヤジ。
シンセソロは作り慣れてないし、最近聴き始めた程度では、
頭の中にフレーズの蓄積が充分にはできていないようだ。

ギターソロなら、もう中学生のころから40年以上いろんな
フレーズが刷り込まれていて引き出しも出来上がっている。
全然レベルが違うのだ。

活動の方向性を見直したときにも、
「自分が得意で好きなジャンルをやらないとクオリティは上がらない」
という結論を自分で出していたじゃないか。
EDMも好きだから何とかなるかと思ったが、やっぱり体に染みついてないのだ。
音作りの方はなんとかEDMらしくなったが、ソロフレーズは無理と悟った。

一般的にEDM曲にはギターは合わない、と言われているが、
全然ないわけではない。
むしろ自分の個性を打ち出せる領域とも言える。なので、
EDMの4つ打ちリズムの上にギターを乗せる形
を今後も全面に出していこう、
という結論に至った。

そういうわけで、ソロ、エンディングをギターを中心に再構成して
なんとか作り上げた音源がコレ。

soundcloud.com

ソロ: 3'02"~
エンディング: 4'28"~

EDMというより普通のJ-Popアイドル曲の雰囲気に近い感じかな。
とくにエンディングは。
まあ、ボカロ曲としても一定のクオリティでまとめられた感じだと思うんだけどどう?

つーことで、今回はギターソロの作り方に特化した話にします。

【音源】
ソロとエンディングは Heavier7
ソロ直後のカッティングはReal Strutを使ってます。
そう、2種類使い分けてます。

Heavier7のいいところは、サンプルフレーズが入っている点。
「こういうフレーズのときにはこういう風にパラメータ設定するんだよ」
という見本があるので、非常に作りやすい。
あとビブラート、スライドアップが自然で、ソロのリアルさは抜群です。

Real Strutのいいところは操作性
パラメータ設定のやり方がシンプル。
音もなんとなく固めなので、カッティングにちょうどいい感じ。


【ソロフレーズの作り方】
①まず、好きなギターソロフレーズを徹底的に聞くことから。
ボクは、洋楽、J-Pop、ボカロ曲合計34曲のお気に入りのギターソロの
ところだけを切り取った音源をi-Phoneのフォルダーを作って登録し、
繰り返し聴いてます。
とくにギターフレーズを作る直前に集中的に。
そうすることで、頭の中に「イメージ」を作り上げます。

 

②次に、どういう構成、展開にするか、書き出します。
今回はとくに16小節もあるので、漫然と作ったのでは間延び感出る恐れがあるんで。
変化をどうつけていくか考えておきます。
今回はこんな感じで
1~4小節: 低音のうねるような長音から中音に立ち上がる
5~8小節: チョーキングで不安定に伸びる音から超速弾きで盛り上げ
9~12小節: 高音長音でコードからはずれた音で主張
13~16小節:ニゾンベンドをスネアと同期+最後ライトハンド

 

③この参考になりそうなギターフレーズを①のターゲットサンプルから拾って
参考にしながら、フレーズのイメージを固めていきます。

 

④作りたいフレーズに似たニュアンスのサンプルをHeavier7のサンプルから
選んでソロのトラックに貼り付けます。(部分ごとに個別に)

 

⑤それを加工して作りたいフレーズのイメージに近づけていきます。

これを繰り返していきます。
参考曲のフレーズも、Heavier7のサンプルも、作りたいものに近いものがあるとは限らず、無い場合にはゼロから考えて打ち込みます。
結局だいたい半分くらいは自分で作ってます。


【エフェクト】
Heaver7には内蔵のエフェクトがついていますが、音が悪く、使っていません。
ボクはCubase内蔵のVST AMP Rackを使います。
なんと言っても多彩なプリセットがあるので、基本的には選んでそのまま使います。
が、それに加えて、以下も設定します。
EQ: 下は120Hz、上は6000Hzでカット
コンプ: Holdを長めにしてサステイン効果を出す
ディレイ: ソロはSend Returnで深めに。カッティングは弱めで。


こんな感じです。
もうほとんどできてきたんで、次は本番まで音源は上げません。
次回はマスタリングエフェクトについて書きます。

が、その前にVocalミックスやってるんで、次の更新は半月後かな?
少々お待ちください。


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#315 コーラスつけました

制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はコーラスです。
予定では、Vocal Effectの話も書こうと思ってたんですが、
マスタリング調整や、アレンジ修正の結果変わる可能性も
あるので後にします。ごめんなさい。

まず、コーラス入れ終わったバージョンを貼ります。

 

soundcloud.com

 

どう? かなりいい感じでしょ? とくにサビ!!
ちょっとずつ解説します。


1) 左右コピー

左右に同じVocalをタイミングを30msくらいずらして配置して、
左右で二人で歌ってる感じを出します。
が、ボカロをコピーしたんだとあまり感じが出ません...
人間ボーカルの別テイクを配置するのに比べて...
Vocaloid5だと、簡単にタイミングがずらせない...
本当にVocaloid5のイベントデータをずらすしか無くて、
後でエディットしにくい...
V5になってからあんまりやらなくなってしまった...

大抵はサビに適用するんだけど、今回はハモリにしたんで無し。


2) ハモリ

大抵、3度か4度上を、ちょうどコードの構成音の範囲になる感じで適当に。
経過音でコード外の音にすることも。
メインの調教が終わってから、丸々コピーしてずらして作っちゃう。
一発でいい感じにはならなくて、試行錯誤で調整する。
今回はサビと、Bメロの最後ちょっとだけ。


3) 反復コーラス

これは輪唱みたいな感じで、同じ言葉を少しずらして歌うヤツ。
ボクは別トラック作って、メインから反復箇所を切り出しコピーして造る。
そのコピーにディレイをかける感じ。
メインに直接かけてオートメーションで調整してもいいんだけど、
どこにどうかけたかわかんなくなっちゃうんで、いつも切り出しでやってます。
ディレイ周期は、曲、箇所によって適当に。


4) ミュート

短いミュートを連続でかけて途切れさせるヤツ。
ダンス系ではよく使われる手法。
コーラスにかけるときもあるし、メインにかけるときも。
今回はしっくりする箇所がなかった...
もしかしたら、ソロの合間にVocalを細切れにして飛ばすかも...
ソロ作るときに一緒に考えることにした。


5) ピッチダウン

叫び声の最後をピッチダウンで終わらせるヤツ。
これもダンス系で多用される。
今回は、英語の叫び声 x 2箇所に適用した。
これはすでに調教前に入れてしまっていたが。


まあ、コーラスをつけると曲のクオリティが格段に上がるんで、
毎回ちゃんと時間取って考えるようにしてます。
が、今回は若干地味めかな。


ということで、次回はアレンジのブラッシュアップです。
ソロとエンディング、フィルインやオブリガードの最適化です。
ちょっと間があくかも...

というのは、ここまでの流れはだいたい手順を決めていてタッタッと行くんだけど、
ここからは個別に悩みながら作りこむからやってみないとどうなるかわからない...
産みの苦しみの部分。
大変だけどうまくいったときには達成感ハンパない。

頑張ります!
しばしお待ちを。

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#314 点五Pのボカロ調教ノウハウ

制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はボカロ調教です。


【フルコーラスに仮拡張】

が、本題に入る前に、まずフルコーラスに仮拡張したバージョンを貼ります。
ワンコーラスの基本アレンジパタンをそのままコピペして、
最低限の調整をしてムリやりフルコーラスにしたものです。
ボカロはフルコーラス分入れました。
要するに、調教前の"Before"がコレ、ということです。

soundcloud.com

ソロやエンディングはちゃんと作りこんでないので間延び感ありますが...
まずはVocalアレンジを先にやるのでおいておきます。

プロなんかはVocal入れは最後にやる人が多いようですが、
ボクは、オブリガードやフィルインをつける前にVocalの作りこみを必ず先にやります。

なぜかというと、
1) 反復コーラスやブレスを聴かせたいところは先に入れたい。
オブリガードやフィルインを先に入れると、邪魔になってしまうことがある。
プロはそこを想定して空けておくんだろうけど、ボクは入れてないとわかりにくくて...
2) ボーカルがしょぼいとアレンジのモチベーションが上がらないんで、
先に調教をやっていい感じにしたい。

というわけです。


【V4で入力してV5に変換する】

ここまでのボカロはV4X(ボカキュー)で仮入力したもの。
本格調教はV5に変換してやります。

なぜ最初からV5でやらないかというと、
1) ノートの入力、コピペは、ボカキューの方が圧倒的にパフォーマンスがよい
2) 歌い手さん用のガイドメロディはV4Xのボカキューのデータを変換すれば一発でできる。
V5からMIDI逆変換できないので、先にV5に入れてしまうと、ガイドメロ用にもう一回
打ち込みしないといけないので面倒

という事情があります。
だったらV4Xのままでいいのでは? と思うかもしれませんが、
V5の方が調教作業は楽で、音質もいいので最後はV5を使いたいのです。


【調教作業の大きな流れ】

1) スタイルプリセット適用
2) 母音、撥音の調整
3) カラーを音程に合わせて変動
4) ノート長の調整とビブラート
5) しゃくり、語尾上げ、ピッチ変化
6) Mouthでアクセントを表現
7) 子音の強さの調整

1つ1つ簡単に解説します。


【 1) スタイルプリセット適用】

今はこの設定で固定化してる。

f:id:dekunobobenkay:20200821190136p:plain

ここに至るまではいろいろと試行錯誤したけど...
結局好みの問題だから、いろいろいじって自分の好きな設定を確認するしかない。
V5内蔵のエフェクトはイマイチ音が悪くてEQ以外は基本オフ。


【 2) 母音、撥音の調整】

この調整は、V4Xで仮入力する時点でやってしまうことが多いです。
直さないと不快感ありありなので。
今回も"Before"の段階で直してしまってます。

母音の調整とは、例えば「野生」を「やせい」「やせえ」「やせー」
のどれにしたら、自分のイメージに合うのか、確認して調整していく作業。
漢語熟語を使うとよく発生する。
一概に法則性はなくて、どう歌わせたいかで決める。
今回は、あまり漢語使ってないけど、「自由」を「じゆー」、
「宇宙」を「うちゅー」にしてます。

撥音の調整とは、
「うっとおしい」「ほっといて」を、
「ううっとおし」「ほおっといて」として、「っ」の長さを短く調節したりすること。
歌詞の字のとおりだと棒読み感が出るけど、こうすることで、歌らしくなります。
Vocalistによるけど、「ううとおし」「ほおといて」というようにほとんど
「っ」でつまらせない人もいますね。
僕はその都度個別調節してます。テンポにもよるみたいだし。


【 3) Characterを音程に合わせて変動】
高い音のCharacterを上げ、低い音のCharacterを下げるとらしくなります。
一音一音で変化させると面倒なので、だいたい音域を3つに分けて直します。
今回は
B♭3~D4:+8
D3~A3 :±0
A2~C3 :ー8
にしてます。
フレーズの中で入り乱れることもあるけど、このとおりに正確に直します。


【 4) ノート長の調整とビブラート】
僕はビブラートはかかりすぎると気持ち悪くなる派なので、薄くかけます。
Attack and Release Effectの"Slight Vibrato"しか使いません。
しかも、ノート全部にかけるとしつこいので、ノートを前半と後半で分割して後半のノートにだけかけます。
どのくらいからビブラートが始まるとイメージに合うか聴いて分割位置を個別に調整します。

ビブラートを使わないノートも、スパっと切るのか伸ばすのかでニュアンスが変わるので、聴いて全部調整します。結構ハンパな長さにすることもあります。


【 5) しゃくり、語尾上げ、ピッチ変化】
しゃくりは、しゃくらせたい部分をまず選定して、決めたら
ノート分割か、Attack and Release Effectか、個別ピッチ調整かを試行錯誤して
一つ一つ個別に調整します。
分割の場合、どのくらいの長さにするか、
Attack and Release Effectの場合は種類、
個別調整のときには具体的な波形を試行錯誤して調整します。
ボクはオートチューンをかけっぱなしにして軽くケロらせるのでノート分割でぴょこっと上げてしまうことが多いです。

語尾上げは、アイドルみたいに語尾だけ裏返るやつ。
V5のAttack and Release Effectだとぜんぜんらしくならないので、ノート分割で
ぴょこっと上げて作ります。
今回の曲では適用してません。

その他のピッチ変化は、しゃべり言葉のようなニュアンスを出したいとき。
今回、一箇所だけやってます。
これも個別調整で試行錯誤です。


【 6) Mouthでアクセントを表現】

Mouthはデフォルト値127でフルオープンなのですが、以下のようなケースで119か111に下げます。
1) 無声母音に近い状態で弱めたいとき (キ、ク、シ、ス、チ、ツ、ヒ、フ)
2) 漢字の音読みの後ろのノート (「後悔(コオカイ)」の場合、オとイ)
3) 助詞や助動詞。ただし、強調したいときもあるので個別判断。
4) その他、単語でアクセントがない部分

でも、これに該当しても下げない方がいいときもあります。
音程が上がって伸ばすようになっているときなんか。
個別に判断して下げるかどうか決めてます。

実は、僕が最も重視しているのがこれ。
しゃくりはやってる人多いと思いますが、コレは意外とやってない人が多いみたい。
でもこれやるのとやらないのとで、ぜんぜんVocalの抑揚が違います。
ケロ声でも日本語でも相当ニュアンスが変わります。
やってない人は是非お試しください。

ちなみに、英語の調教については過去に記事を書いてるので、こちら

#259 Vocaloid 英語調教のポイント大公開 - ColoFusion公式! 中の人=点五P

をご参考に。
英語の方がこのアクセント調整はさらに重要です。

 

【 7) 子音の強さの調整】

子音が弱いときはVELを下げ、強すぎるときは上げて調整します。
GUMIはもともと舌足らずで、そこが魅力なところもあるんで、
僕はあまり厳密には直しません。だいたい一曲中で2~3箇所程度。
それもカンペキには直んないんであきらめてますw

で、調教出来上がった音源はコレ!

soundcloud.com

どうですか? 調教によってかなりニュアンス変わったと思います。
とくにサビがヤバい!!
結構手間はかかります。ぶっ通しでやっても丸2日くらいはかかりそう。
でも、それだけの価値はあると思ってます。

いかがでしょう。参考になりました?

次回はコーラスとVocal MIXです。
ここのところ、週に2回更新してきましたが、次回はちょっと間があくかも...
というのは、この部分は苦手意識が合って、まだ人に教えられる状態ではないのです。
見直しながらやろうかと思っているので。
少々お待ちください。


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#313 ワンコーラスの骨格

制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はワンコーラスの骨格のアレンジです。


【アレンジの方向性を表で整理】

ワンコーラスのアレンジの方向性を固めて、いったんそのコピペをベースに
フルコーラス仮を作って、バリエーションをつけていくやり方をとります。

なので、ここが重要。
ここでコケると全体がコケる。
しっくりくるまでじっくり練ります。

ボクはこういう表を作って頭を整理してから打ち込みます。

f:id:dekunobobenkay:20200815134650j:plain

ターゲットとする曲(複数)のアレンジをよく聴いて、
取り入れたいところを決めて書いていきます。
今回は洋楽のトランス曲、パフューム、小室哲哉さんの曲なんかを参考にしてます。

それで打ち込んでブラッシュアップしたワンコーラスはこんな感じ。

soundcloud.com

思いのほか、サクっといい感じになりました。
MIXはテンプレートでほぼできていて、アレンジすればいいだけだし。
やっぱり、MS処理で中音/リバーブを広げているおかげで、音数少なくても
しょぼく聴こえないからスゴい。

歌詞も、テキストで見た感じだとイマイチな部分もありましたが、
ちゃんとアレンジしたバックをつけてGUMIちゃんに歌ってもらうと
それなりに聴こえちゃうから不思議ですw

 

【周波数帯域すみわけの話】

ウワモノの音色は、リズムと同様にほぼ固定化してきました。
よく使う音色はこんな感じ。

f:id:dekunobobenkay:20200815134646j:plain

シンセとギターはすべて中音。
BUSで500~15kHzで絞ってるんで、音色によってはトラック側では何もしない。
周波数は基本バッティングしてるんで、PANですみ分けるか、
そもそもなるべく同時に鳴らさないようにした方がいい。

現時点ではこの表の上から4つだけ使ってます。
アナログピアノとギターはEDMで使うのは難しい。
というのは、EDMの命である、ベース音(とくに高音のジャリジャリ)
をかき消しちゃうから。

ソロとかオブリガードとか、ポイントをおいて使わないと厳しい。
ボクは中音BUSで500Hz以下を切っちゃってるけど、それでもBass Highとは
かぶっちゃう...

なんで、今回もギターを入れるかどうかは一旦保留中。
ソロしか使わないかも...

シンセでも、カッティングやウラフワフワみたいに鳴りっぱなしの音は
下をかなり切って、Bassの邪魔にならないようにしてます。


【音源の話】

音源としては、Omnisphereの比率が高いですね。
極端な話、EDMをやるなら、Ominisphereだけでもいいかも。
EDMに特化した音色がたくさん入ってるんで。
ボクみたいに、音色を自分で作らずにプリセットが基本な人にはオススメです。

Massiveは自分で作る派の人向け。
エレピで使ってますが、これは"Myloop Trance Insight"という無料のCubase向け
プロジェクトファイルサンプルに入っていたもので、ちょうど自分のイメージに
ピッタリだったんで、ちょっとパラメータをカスタマイズしてますが、そのまま
使ってます。
Massiveは、プロが無料で公開している音色セッティングデータが大量にありますが、多すぎてどれが自分のイメージに合うのか探すのが大変で、結局使わなくなっちゃいましたwww

Voice Padとウラフワフワは、コード弾きで、CubaseコードトラックをMIDI
に書き出してほぼそのまま使ってます。
ただし、ベース音はカットします。Bassとかぶっちゃうんで。

イントロは、32年前のアレンジとほぼ同じなんですが、
音色を入れ替えただけでEDMに聴こえちゃうって
やっぱ音色って重要と思います。


【メロとコード変更】

あ、そうそう。
今回、サビの一部のメロとコードを変更しちゃいました。
の部分。

f:id:dekunobobenkay:20200815134643j:plain

この方がだんだん盛り上がっていく感じが出せると思います。
こんな感じでちょっとずつ修正していきます。


いかがでしょう?
参考になりましたでしょうか?
次回はフルコーラスコピペ展開とボカロ調教です。
お楽しみに。

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#312 リズム隊の音作り

制作の途中経過をアップしていく企画。
今日はズム隊の音作りの話です。

基本的な考え方は、
①仮Vocalは必ず入れておく
(V4 GUMI調教無しで歌詞入りで)
②音色、エフェクトはほぼテンプレートの範囲で。
③サビのノリをまず作って確認
④キック、スネア、ハイハットオープンはほぼ固定なので
さっさと入れる
⑤ベースを入れノリを確認後、リズムを取るシンセも入れて調整

今日は、②の音色、エフェクトの話を中心に。
あとは作った結果としての新曲「君の叫びが引いたカード」
サビのアレンジ骨格の音を紹介します。

リズム隊の音色、エフェクトの考え方はこんな感じ。

f:id:dekunobobenkay:20200812230933j:plain

ところで、前回投稿で、「各トラックで周波数調整は不要」と書きましたが、
トラックの音色間のすみ分けがさらに必要な場合にはトラック側でもしぼります。
さらにクッキリ度が増します。

・ベースはLow(sub)、Mid、Highの三音色のユニゾンにしてます。
LowとMidは低音BUSでモノ、Highは中音BUSでステレオにしてます。
こうすることで、低音は締まってセンターでしっかり聴こえる状態でありながら、
かつ高音ジャリジャリ音はステレオで響かせて厚みを出すことができます。
重要なのは、この3音の帯域はかぶらないようにしっかりカットすること。
かぶりが多くなるとモコモコ感が出てダサダサになりますので要注意。

・それから、ベースのLowはキックより低い周波数にしてます。
これはEDMならではでしょうね。
さらに、ベースのLowの80-90Hzあたりをけずり、キックの80-90Hzを出すことで、
聴きやすくしてます。
・さらに、その上でサイドチェーンもかけることで安定感出ます。
ここで書いているサイドチェーンはあくまでキックがなる瞬間だけ音量を下げる目的。
リズムに合わせてベースをフワフワさせる方はサイドチェーンではなくて、LFO Toolという有償エフェクトで音量波形を作ってます。
サイドチェーンだとなかなかイメージどおりにフワフワさせるのは難しいと思います。EDMやるなら必携だと思います。

・ドラムスは、すべてEDM系のサンプルですw
EDMの場合、リズムはシンプルなんで、サンプル貼り付けの方が簡単です。
加工も簡単。

・スネアロールは自分で作らず、ロールのサンプルを使います。
素人がムリに作るより圧倒的にカッコいい。
スネアロールのサンプルにはゲートをかけて音のキレを出してます。

・EDMは音色が命!
カッコいい音色を見つけられるかどうかがカギです。
この表のものに行き当たるのに、かなりの数のサンプル、音色を使って聴き比べました。
でもそれをやらないことには自分のイメージに到達できないでしょう。
やりたい音楽によって合う音はちがうと思います。
自分で納得いくまで覚悟を決めて探してください。

・それから、キックにスネアトリガでサイドチェーンをかけることで、
スネアを安定的に聞きやすくしてます。

ということで、サビのリズムを打ち込んでみたのがこの感じ。

soundcloud.com

まあ、なんとかいい感じになってます。
エレピはノリを確認するために仮に入れてます。
後でもうちょっと上下にふってアソビを作るつもり。
そういう意味ではベースも同じ。
アソビで散らすのはフルコーラス作ってからやります。
部分部分でバリエーション持たせたいのもあるので。

ところで、今回書いたことは、かつて試行錯誤して行きあたって
テンプレートに押し込めたことを書いただけで、
実際には今回はノートを打ち込んで微調整しかしてません。

アレンジは結局洋楽トランス曲の何曲かをターゲットとして聴きこんで
似せて作ってます。EDMはシンプルなんですぐにできちゃいますね。


ということで、どんどん進めていきます。
次回はワンコーラスの骨格です。
お楽しみに。

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#311 点五PのMIXノウハウ大公開~BUSの使い方と周波数帯域のすみ分け

制作の途中経過をアップしていく企画
予定ではリズム隊の作り方の話にしようと思ったんだけど、
MIXの全体的なやり方、考え方を先に説明
することにします。
(そうじゃないと説明しにくいんで...)

あ、ここで言うMIXは、
Vocal MIXじゃなくて、Vocalを含めた音作り全体
の話です。

基本的な考え方は、
①アレンジしながらMIXは同時進行
というより、テンプレートを作ってあるので、
MIXは初めからほぼできているような形
②マスタリングは、テンプレートに組み込みすみ
ほぼ固定。かけた状態でアレンジMIXをやっていく。
最後に微調整する程度
③音色、エフェクトは、以前書籍+試行錯誤でセットしたものをほぼ固定で使いまわし。
音色はサンプルまたはテンプレどおりで自分では作らない。
有償でEDM向きのクオリティの高いものを使う。

それから前提条件として、"EDMっぽい音作り"に特化
してますので、
音楽的に違う方向 (生楽器、バンドサウンド、バラードものなど)の場合は全く参考にならないと思います。
むしろ間違いのもとなんで見ない方がいいかもwww


で、今日は①のテンプレートの話に特化します。

テンプレートとは、DAWのプロジェクトファイルで、音を入れていない空っぽのものなんですが、
マスタリング、各種音源のトラック、中間BUS、エフェクト設定
などの基本はもう出来上がっている状態のもの。
だいたい最新曲が作り終わったときにコピーして音の部分
(MIDIデータ、オーディオデータのイベント)や、オートメーションを消して作ります。
毎回新たな発見、工夫が加わるので。
結局は最後の曲の構成を次に使いまわしてるだけなんですが...
(消してしまった音色のトラックで、有用なものは、1つ前の曲から引っ張ってきます)

全部の説明はしきれないので、とくにMIXクオリティの向上に最も貢献した、
中間BUSの使い方と、周波数帯域のすみ分け
の話をします。
ボクがオリジナルで考えた手法の部分でもあるので。

テンプレートでは、各音色トラックと中間BUS、マスタートラックを
こういうルートでつないであります。

f:id:dekunobobenkay:20200809163158j:plain

このやり方でのメリットは、

A. 周波数のすみ分けを個々のトラックで調整する必要がない

・200Hz以下が鳴ってるのはベースとキックのみ。
とくにベースのうなりが気持ちよく聴こえます。
・15kHz以上が鳴っているのは高音系のドラムス
(ハイハット、シンバル、スネア)のみ
とくにハイハットのシャキシャキ音が気持ちよく聴こえます

これだけ周波数を削ると単音で聴いたときしょぼく聴こえてしまうので、初心者のときにはあまり削ってませんでした。
混ぜたときの聴こえ具合で調整しないとだめなんですね、コレが。
マスキング効果ってやつです。
知らない人はググってみてください。

マスキング効果のことをわかってる人も、このやり方にすれば、
毎回調整したり、調整ミスしたりがなくなり、わかりやすくなると
思います。


B. 中音、コーラス、リバーブなど、広がりを持たせたい音にのみ、MS処理をかけることができる。

・ボクは、Vocal、キック、ベース、ハイハット、スネア
なんかは、音像をハッキリさせたいんで、
MS処理で広げると気持ち悪いことこの上ないw
でも、シンセ、ピアノ、ギターや、EDMによく使うノイズ、
スイープ、Vocalのコーラス、それから各トラックのリバーブは、
MS処理で広げた方が圧倒的にカッコよく、音圧面でも楽です。
こういう風にBUSで分けることで選択的にMS処理をかけることが
できます。
メインVocal、キック、ベースがセンターでしまって聴こえます。

・とくにミソなのが、Vocal BUSと高音BUS。
各トラックのReverbのリターンを、元音と違えて、それぞれ
コーラスBUS、中音BUSにツッコんで、ReverbのみMS処理で広げます。
こうすることで、空間の広がりを感じさせつつ、音像がクッキリ
する、という一石二鳥が実現します。

ちなみに、ボクはWaves CenterというVSTエフェクトで一発でMS処理してます。

 

C: マキシマイザをBUSとマスターで分割してかけることで、自然に音圧が上がります。
トラック側で音圧のことは気にする必要がありません。

 

D: オケとVocalのVolume/ EQをセットでまとめていじれるので、最終バランス調整が楽

このBUS構造で音作りをすると、トラック側でその曲独特の事情での
調整をする以外、ほとんどテンプレートのままでいいので、MIXが極めて楽です。
アレンジに労力を割くことができます。


このやり方にもデメリットはあります。
リバープをセンド/リターンでかけるので、ミュートはBUS側でやらないと歯切れよく音をカットすることができません。
大抵、オケ全部とかVocal全部をミュートするので困ったことはありませんが。

最初にも書きましたが、これは

EDM以外に適用しない方がいいでしょう。
とくに生ドラムス系の場合、バスを低音と高音に分割してしまうと、
リズムに一体感がなくなってしまい、ダメでしょうね。


どうでしょう?
今回はかなり希少な情報を出してしまったつもりです。
お役に立てましたでしょうかw
本出せるレベルじゃね? (甘いかw)


ちなみに、最新曲であるこのカバーは、このテンプレートでMIXしてます。
www.nicovideo.jp

 

オリジナルの最新のコレも。

www.nicovideo.jp

 是非ぜひ聴いて見てください。

 

ちなみに、このテンプレートを使っていない時代のMIXだとこんな感じw

www.nicovideo.jp

MS処理かけてないんで、広がり、奥行きがありません
PANだけで広げてるんでバラバラ感ハンパないw
ドラムスの音がクッキリしてなくてプアな感じですね。
黒歴史です。

いずれアレンジ/MIXやり直したいと思ってます。

さて、次回は、リズム隊(ドラムス、ベース)の音作りについてです。
作りかけの新曲の音も交えて解説します。
お楽しみに。

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