ということで、先週までの投稿で決めた方向性に沿って
「こういう曲を作ってみたい」
というターゲット曲を選定して、まず歌詞を分析してみた。
ターゲットの曲名は非公開とするが、
ここ10年ほどのボカロ曲/ J-POPの中から、ノリのよいカッコイイ系の曲15曲ずつ。
ただしヤンデレ系は選択していない。
根強い人気があるのはわかったが、今まで作ったことがないんでモチベーションやクオリティが確保できるか疑問だ。
それから、8ビート、ロックに絞らず、自分の好きなノリなら16ビートものも含めている。
8ビート曲の方を多めにはしたが、デジタル感も保ちたいところがあるので。
で、ここから本題!
まず、歌詞を単語に分解してエクセルに入力
し、どんな単語がよく使われているのか調べてみたのがコレ
・1曲の中での重複は除外したので、15曲中何曲で使われているか、を表している
・あくまでボクがターゲットにした曲の特徴。ボカロ全体やJ-POP全体の特徴ではない。
・濃い色で染めた単語はボカロ、J-POPの両方で頻出しているもの。
・薄い色で染めた単語は、「片方で頻出、もう片方は頻出ではないが、使われている曲は2曲はある」というもの
・白い部分は片方で頻出だが、もう片方は1曲以下しか使われていないもの。
・実際には2曲で使われている単語まで抽出しているので、それぞれ百数十語がリストアップされているが、下位の掲載は省略
結果よくよく見て、それぞれの歌詞の内容も読み返して照らし合わせてみると、
じわじわと状況が分かってきた。
白の部分がそれぞれの特徴を表しているわけだが、
J-POPでは、
「いろいろと困難はあるけどそれを乗り越えて行こう」
という、一般的なアニソンの雰囲気が支配している。実際にターゲットの半分近くがアニソンなのだw
一方でボカロでは、
「いろいろと困難がありすぎてどうせムリ。ぼっちだし。」か、
「どうせ世の中矛盾だらけで難しく考えても仕方ないから踊れ! 笑え!」
という感じ。
J-POPは「困難の克服」「努力の美化」、
ボカロは「困難からの逃避」「努力の否定」
が共感を呼ぶ、
という構図なのだ。
これは非常によくわかる特徴だ。
アニメそのもののストーリーが、基本的に困難を乗り越えるストーリーになっているし、努力の否定ではスポンサー企業はつかないだろうから、タイアップが基本のJ-POPでは必然の方向性だ。
一方で、ボカロは、タイアップやアニメのストーリーは気にせず作ることができる。
ボカロ初期には両方のパターンがあったような気がするが、この「困難からの逃避」「努力の否定」はJ-POPには少なくボカロでないと聴けないから、それに共感する層が集まって来てだんだんと支持が拡大してきたといいうことだろう。
努力の美化が聴きたければJ-POPにいくらでもあるんだし、
ハッキリいってJ-POPの方がクオリティ高い作品が多い。
★結論1: カッコイイ系ボカロ曲として多くの共感を得たいなら
「困難の克服」「努力の美化」はNG
アニソンの歌詞は参考にしてはいけない。
前にオリジナルを復活させた時にはモロにこの逆をやってたなw
もう一つ大きな発見があった。
JPOPは男性Vocal曲4曲を含んでいるが、「僕」という代名詞は15曲中5曲に使われているだけ。
一方ボカロ曲はすべて女声ライブラリの曲にもかかわらず、「僕」は9曲に使われている。
さらに、「私」はJPOPで5曲、ボカロ曲ではほとんど使われていないのだ。
元々J-POP/ ボカロ両方とも今回は女性的イメージの曲はあまり選択しなかったというのはあるのだが、とくにボカロでは非女性の要素が強く出ているようだ。
これも結論1と同じような理由だろう。
アニメに出てくる女性にはやはり女性的要素が期待されている面があるのと、中性的な感じだとタイアップ企業から支持を得にくいこともあるだろう。
ボカロではそういう制約はないので、中性的な女性を支持する層が集まってきた、ということだ。
それからもう一つ。
前回の統計でわかったように歌い手人気が男性の方が主流になってきたのもこれと関係があるだろう。
ニコ動で非女性的要素の方がニーズが高まったということだから。
さらに、ここまで男性歌い手に人気が集中してしまうと、歌ってみたとの相乗効果を出すには男性も歌いやすい「僕」を使い、「私」を避けるようにますますなってきた、ということも言えるのではないだろうか。
★結論2: カッコイイ系ボカロ曲として多くの共感を得たいなら
女性的要素は薄めるべし。
女声ライブラリを使ったとしても、一人称は「僕」にすべし。
そういえば、過去のオリジナルの中で、「キミガ、ウスク、キエテク」だけは、一人称が「ボク」なのだ。
作り直して出し直したりしたので再生数はイマイチだが、至って評判がいいのはここからきているのかもしれない。
前々回投稿で「さっぱり理由がわからんぞ!」
と叫んだが、これですごいスッキリ感!
ターゲット曲をよく分析する、ということは非常に重要だ。
が、実はもうひとつ気づきがあったんだが、ちょっと長くなるんで次回のお楽しみに。
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