ボカロPがアラカンで何が悪い! = 点五P公式

アラカン ボカロPの活動奮闘記!

#311 点五PのMIXノウハウ大公開~BUSの使い方と周波数帯域のすみ分け

制作の途中経過をアップしていく企画
予定ではリズム隊の作り方の話にしようと思ったんだけど、
MIXの全体的なやり方、考え方を先に説明
することにします。
(そうじゃないと説明しにくいんで...)

あ、ここで言うMIXは、
Vocal MIXじゃなくて、Vocalを含めた音作り全体
の話です。

基本的な考え方は、
①アレンジしながらMIXは同時進行
というより、テンプレートを作ってあるので、
MIXは初めからほぼできているような形
②マスタリングは、テンプレートに組み込みすみ
ほぼ固定。かけた状態でアレンジMIXをやっていく。
最後に微調整する程度
③音色、エフェクトは、以前書籍+試行錯誤でセットしたものをほぼ固定で使いまわし。
音色はサンプルまたはテンプレどおりで自分では作らない。
有償でEDM向きのクオリティの高いものを使う。

それから前提条件として、"EDMっぽい音作り"に特化
してますので、
音楽的に違う方向 (生楽器、バンドサウンド、バラードものなど)の場合は全く参考にならないと思います。
むしろ間違いのもとなんで見ない方がいいかもwww


で、今日は①のテンプレートの話に特化します。

テンプレートとは、DAWのプロジェクトファイルで、音を入れていない空っぽのものなんですが、
マスタリング、各種音源のトラック、中間BUS、エフェクト設定
などの基本はもう出来上がっている状態のもの。
だいたい最新曲が作り終わったときにコピーして音の部分
(MIDIデータ、オーディオデータのイベント)や、オートメーションを消して作ります。
毎回新たな発見、工夫が加わるので。
結局は最後の曲の構成を次に使いまわしてるだけなんですが...
(消してしまった音色のトラックで、有用なものは、1つ前の曲から引っ張ってきます)

全部の説明はしきれないので、とくにMIXクオリティの向上に最も貢献した、
中間BUSの使い方と、周波数帯域のすみ分け
の話をします。
ボクがオリジナルで考えた手法の部分でもあるので。

テンプレートでは、各音色トラックと中間BUS、マスタートラックを
こういうルートでつないであります。

f:id:dekunobobenkay:20200809163158j:plain

このやり方でのメリットは、

A. 周波数のすみ分けを個々のトラックで調整する必要がない

・200Hz以下が鳴ってるのはベースとキックのみ。
とくにベースのうなりが気持ちよく聴こえます。
・15kHz以上が鳴っているのは高音系のドラムス
(ハイハット、シンバル、スネア)のみ
とくにハイハットのシャキシャキ音が気持ちよく聴こえます

これだけ周波数を削ると単音で聴いたときしょぼく聴こえてしまうので、初心者のときにはあまり削ってませんでした。
混ぜたときの聴こえ具合で調整しないとだめなんですね、コレが。
マスキング効果ってやつです。
知らない人はググってみてください。

マスキング効果のことをわかってる人も、このやり方にすれば、
毎回調整したり、調整ミスしたりがなくなり、わかりやすくなると
思います。


B. 中音、コーラス、リバーブなど、広がりを持たせたい音にのみ、MS処理をかけることができる。

・ボクは、Vocal、キック、ベース、ハイハット、スネア
なんかは、音像をハッキリさせたいんで、
MS処理で広げると気持ち悪いことこの上ないw
でも、シンセ、ピアノ、ギターや、EDMによく使うノイズ、
スイープ、Vocalのコーラス、それから各トラックのリバーブは、
MS処理で広げた方が圧倒的にカッコよく、音圧面でも楽です。
こういう風にBUSで分けることで選択的にMS処理をかけることが
できます。
メインVocal、キック、ベースがセンターでしまって聴こえます。

・とくにミソなのが、Vocal BUSと高音BUS。
各トラックのReverbのリターンを、元音と違えて、それぞれ
コーラスBUS、中音BUSにツッコんで、ReverbのみMS処理で広げます。
こうすることで、空間の広がりを感じさせつつ、音像がクッキリ
する、という一石二鳥が実現します。

ちなみに、ボクはWaves CenterというVSTエフェクトで一発でMS処理してます。

 

C: マキシマイザをBUSとマスターで分割してかけることで、自然に音圧が上がります。
トラック側で音圧のことは気にする必要がありません。

 

D: オケとVocalのVolume/ EQをセットでまとめていじれるので、最終バランス調整が楽

このBUS構造で音作りをすると、トラック側でその曲独特の事情での
調整をする以外、ほとんどテンプレートのままでいいので、MIXが極めて楽です。
アレンジに労力を割くことができます。


このやり方にもデメリットはあります。
リバープをセンド/リターンでかけるので、ミュートはBUS側でやらないと歯切れよく音をカットすることができません。
大抵、オケ全部とかVocal全部をミュートするので困ったことはありませんが。

最初にも書きましたが、これは

EDM以外に適用しない方がいいでしょう。
とくに生ドラムス系の場合、バスを低音と高音に分割してしまうと、
リズムに一体感がなくなってしまい、ダメでしょうね。


どうでしょう?
今回はかなり希少な情報を出してしまったつもりです。
お役に立てましたでしょうかw
本出せるレベルじゃね? (甘いかw)


ちなみに、最新曲であるこのカバーは、このテンプレートでMIXしてます。
www.nicovideo.jp

 

オリジナルの最新のコレも。

www.nicovideo.jp

 是非ぜひ聴いて見てください。

 

ちなみに、このテンプレートを使っていない時代のMIXだとこんな感じw

www.nicovideo.jp

MS処理かけてないんで、広がり、奥行きがありません
PANだけで広げてるんでバラバラ感ハンパないw
ドラムスの音がクッキリしてなくてプアな感じですね。
黒歴史です。

いずれアレンジ/MIXやり直したいと思ってます。

さて、次回は、リズム隊(ドラムス、ベース)の音作りについてです。
作りかけの新曲の音も交えて解説します。
お楽しみに。

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