※は2024年1月に付記しました!
【0.はじめに】 今回の新曲"If I Fell In Love With You" でSynthVを初めて使い、そのクオリティの高さに驚愕 しました。 しかし、マニュアル、チュートリアル などの情報が古く 、自分がやりたいことを実現するのにどうすればいいのかわからず結構混乱してしまいました。 同じようにボカロからSynthVに乗り換える人 のために情報をまとめておきます。 (SynthV GUMI発売を契機に乗り換える人も多いと思います) なお、SynthVはバージョンアップのスピードが速いようなので、この記述もあっという間に古くなるかも... その点はご了解ください。
初めてのSynthV曲はコレ! ↓YouTube
VIDEO www.youtube.com
↓ニコニコ動画
www.nicovideo.jp
あ、2'32"からのRadio Voice部分は、Vocaloid V4 を使ってます。SynthVだと人間過ぎて イメージ合わなかったので(笑)
【1.こういう人に読んでほしい!】 ・Vocaloid を使ってきたが、初めてSynthVを使う ・クオリティの高い人間的な歌い方を、手間をかけず実現したい ・操作の慣れたVocaloid V4でデータを作ってから変換したい
(機械的 、ボカロ特有な調教を自分でしたい人には向かない です。 今回、ボクもRadio Voice部分はVocaloid を使いましたが、機械的 、ボカロ的にしたい場合はVocaloid のままの方が いいです。そういうことです)
【2.具体的な手順】 では、今回の手順、注意点を書き記します。SynthV AI GUMIのケース なので、他の歌声だと条件が異なるかも。
そこはご了解を!
1)インストール、アクティベート ⇒購入すれば参照できるマニュアルに記述があるので省略
インストール、アクティベートがすんだら、DAW 側でトラックを作ってVSTiとして動かします。
2)VSQX取り込み ⇒ VSQXは単純な「読み込み」 で取り込めます。「インポート」じゃなくて「読み込み」 なので一瞬わからない(笑)
3)拍子とテンポの設定 ⇒現状では自動で取り込んでくれませんでした。 忘れずに手打ちしましょう。 デフォルトはなぜか2/2 120BPMで、多分多くの方は全然ちがうかなと。
4)小節のずれの補正 ⇒VSQXを取り込むと、なぜか1小節ずれてます... CTL Aで全ノート指定して、ドラッグ&ドロップ でずらしておきましょう。
5)歌声DBの適用 ⇒ 各トラック名の下の行に「歌声が指定されてません」と出るので、そこをクリックして歌声を指定。最初にこれをやらないと何もできません。これもわかりにくい!
6)パラアウト ⇒ Cubase の場合 はここに記述があります。
【Cubase Tips】『Synthesizer V Studio Pro』のパラアウト設定でメインボーカルとハモリを個別に出力する方法 - MIT STUDIO(エムアイティ・スタジオ) - プロユースレコーディングスタジオ - 東京・港区
逆にコレを読まないとさっぱりわからないと思います(笑) Cubase 以外もDAW 側は普通のパラアウト設定 と同じと思いますので類推できるのではと思います。
7)各種設定 デフォルトからどうしても変えておいたほうがいいものは、 「修正」タブ配下の「グループ化の解除」 だけ だと。 「解除しないとかえって操作がわかりにくい」という情報がWeb上に複数あったので黙って従いました。解除しなかったらどうなるかは正直わかってません(笑) それ以外はいじらなくてとくに不便、問題はありませんでした。
8)自動ピッチ修正について 古いバージョンでは、適用のために何かしら操作が必要だったみたいですが、最新版はデフォルトで適用 されていますので、「とにかく人間的な歌い方にしたい」人は基本何もしなくて大丈夫 です。 (古い情報がネット上に多かったので、この事実がわかるのにかえって時間を要してしまった...)
9)ボーカルスタイル(歌い方) ⇒ 右のマイクのアイコン をクリックすると歌声 の設定タブが出ます。その配下のボーカルスタイル をクリックすると4つのパラメータが出ます。(Ballade、Cute、Soft、Vivid (=鮮やかさ?) ) トラック全体としての設定がトラックごとに ここでできます。 これはお好み なのでいろいろいじってみてください。数値を大きくしすぎると、だんだん人間味が薄れる ようなのでほどほどに。
10)パラメータ(声質) ここも、ボーカルスタイルと同様に、数値を上げ下げしすぎると人間味が失われて不自然 な感じになりますのでほどほどに。ラウドネス は音量が大きくなるだけで、大きくすると音割れや音質劣化 になってしまったので、0dBのままでDAW 側で音量コントロール した方がよさげ。 その他のパラメータをお好み でいじる感じ。ブレスは普通の歌声の中での息成分の強さ で、ブレス(息継ぎ)の音量ではない ので注意。トーンシフトはファルセットのコントロール で、高い声をファルセットにしたくないときは上げる、というものです。
※この「パラメータ」はオートメーションのように値を変化させることができます。ピッチ以外はあまり使わないと思いますが。 ピアノロ ールの右上に横棒三本のアイコンがあるのでそれをクリックして「パラメータパネルの追加」をするとパラメータ曲線の画面が出ます。
「EDIT」の横のパラメータ名をクリックしてパラメータを選択します。
デフォルトはピッチになるようです。
11)ノートの補正 VSQXを取り込んだままだと正しく発音されない 場合があり、以下についてはコツコツ地道に修正が必要です。
・しゃくらせるためにノート分割した部分。 分割しないでつなげて、SynthVが自動でつける「しゃくり」に任せた方がより自然 になります。(直さなくてもそのとおり歌ってくれますが) ただし、SynthVの「自動しゃくり」より短くしたいときや長くしたいときは、ピッチをマニュアル修正するよりノートを好きな長さで分割した方が自然 です。ボクも聞き比べてしっくりした方にしてます。一部短くしたいところをノート分割のままにしました。
・撥音。小さい"っ"とその後ろのノート。 今回「チャットー」と伸ばさせて歌うようにしてたんですが、勝手に「チャットッ」と短く切られてしまいました。その方が英語に近くて正しいのですが、勝手にやられるのは困る... その時は小さい"っ"(cl)の部分のノートを消して休符にした ところ、VSQXファイルのとおり、「チャットー」と歌うようになりました。 なお、古い情報だと、「Vocaloid の小さい"っ"を取り込んだままにしていると正常に発音できない」という記述が散見されますが、最新版では上記のようなケースを除けば正常に発音されてました 。全部直す必要はなく、おかしいところだけ直せば十分 です。
・発音記号で子音だけにした部分。 Vocaloid とSynthVでは発音記号が違います 。子音だけにしたところは現状では正しく変換されない ようです。聞けばおかしいとわかると思いますので点検して打ち直しましょう。 ⇒ 発音記号はここに記述があります。
発音記号一覧 | Synthesizer V 日本語非公式 Wiki | Fandom
また、Vocaloid とSynthVでは無声化したときのイメージが違う ので、子音だけにしなくてもいい場合もありますし、もともと無声化していないところを子音だけにしたらより自然になる場合もあります。全体的に点検 してみるといいと思います。
※ノートを指定して♫ノートのプロパティを開けると下の方で子音と母音の強さを別々に0-100%の間で指定できます。カナ英語の語尾なんかは、子音だけにせずに母音を50%くらいに落とすだけでもいい感じになります。このあたりはむしろボカロより便利でわかりやすい!
・母音や、"ん"のノートを前の同じ音程のノートに統合? ⇒これはあまりオススメしません。 これをやった方がいい、という記述のあるWeb情報もありますが。 というのは、統合すると、符割が変わってしまう ことが多かったからです。 例えば、"あん"と歌わせるのに、"あ"を付点8分、"ん"を16分にしたいのに、統合して四分音符にしたら勝手に両方8分音符にされてしまいました。これをいい具合にSynthV側で調整する方法もあるかもしれませんが、もとのままでも正常に歌ってくれるのでその手間は不要かと。
12)英語部分 ・音節の区切り方のルールが、Vocaloid とは全く違っている ので注意が必要です。 ここに情報があります。 ⇒ Synthesizer V(SynthV)で英語を歌ってもらう|firmocto(もめんだこ)
13)ASIOドライバの変更 ボクの環境だと、普通にSynthVを動かしたらVocalが音途切れやブツブツ雑音が入る現象 に見舞われてしまいました。ASIOドライバを ASIO4ALL から、Generic Low Latency ASIO Draiver に変更したところ現象がなくなりました。結構負荷かかってるんですね。バッファーがかなり必要 なようです。
14)EQ設定(参考) これはお好み次第かと思いますが、ボクはボカロに比べて以下を加えてみました。より人間的になったように思います。 カット: 300Hz、2.5kHz、4kHz、5.5kHz 全部若干程度です。 マスターで超高音、超低音をカットしているので、ローパス、ハイパスはかけず、帯域を広げました。
15)純正律 補正の適用(参考) ・ボクはボカロにAutoTuneを軽くかけっぱなしにして、純正律 補正をかけています。 が、SynthVにAutoTuneかけるとガタガタになったので外しました。 いろいろ調整したらいい感じになったのかもしれませんが... あきらめ。 ・Cubase で対応している純正律 シミュレート(HMT) の入れ方をボカロとは変えました。 HMT機能を使っていない方は読み飛ばしてください。 ボカロ曲の場合、ピアノ、ギターについては分析オン、チューニングオフで、その他のVST 音源で音程のある楽器は全部両方オン、Vocaloid も両方オンにしてます。 ところがSynthVでその設定だと、Vocalが外れて聴こえる現象に見舞われました。 試行錯誤の末、他は全部そのままでピアノについて両方オンにしたところ、違和感が緩和されました。ピアノとVocalが鳴っていることが多いためか、AutoTuneを外した影響か、正確な原因はわかりません... あくまでご参考に。
ということで、人間的な歌い方をさせたいボカロPのみなさん は躊躇なくSynthVに移行 しましょう。
成功を祈る!
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