#369 テスト3 「MIX、マスタリングにAIツール活用」
ボカロP 12年生の点五Pです。
4回前の投稿でテスト制作全体の概要を書きましたが、今日はそのうちのテスト3 「MIX、マスタリングにAIツール活用」での結果詳細をシェアします。

【1. MIX/マスタリングへのAI活用の必要性とマッチ度】
前回blog投稿で書いた通り、アナログ楽器音を使うことにしたんだけど、あまり使ったことがなく、自己流だとクオリティがあがらないだろうと。
AIツール(Neutron4、Ozone11)はプロのMIX、マスタリングの感覚を学習しているわけだけど、デジタル音だといろんな音がありすぎて、自分が着地したい音を推奨してくれるのかどうかわからないと考え、これまで使ってこなかった。でもアナログ楽器音の場合は、ある程度パターンが決まっていてハズレはなさそうだと思ったワケ。
ちょうどいいなと思って使ってみることに。
【2. 適用前にやっておくこと】
チュートリアルビデオを見ると、もともと十分いい感じにはなってるものをさらにクオリティを上げている感じ。
なので、自分でできることはやっておくべきだなと。
ただ、AIツールが得意なことや、自分があまりわかっていないことは任せた方がいい。
そこで、以下は自分でやって、それ以外はお任せすることに。
1. 各トラック音の音域すみ分け
どの周波数帯を強調し、どこを抑えるか。かぶりを考慮してすみ分けをしておく。自分としてどう聞かせたいかの基本方針になる
で、どうやって決めたのかというと、「すぐに使えるEQレシピ」という本に図示されていた楽器の周波数特性の図を見て。著作権の問題があるので、これをコピーして表示は残念ながらできません。
アマゾンの書籍のリンクを示しておきますので知りたい方は買って読んでみてください。
スグに使えるEQレシピ DAWユーザー必携の楽器別セッティング集
コレはボクのバイブルになっていて、MIX作業の時には必ず手元に置いています。
2. 空間エフェクト、PANの調整
空間エフェクトはNeutronで対応していないので。いつもどおり自分の感覚で。
PANも感覚ですが、ドラムセットの写真を見てドラムスの配置は決めました。
こんな感じ。

Waves Centerを使って中音はこれより広げて、低音は狭めています。
それ以外のコンプ系、ニュアンス系のエフェクトは全部はずしてAIにお任せです。
この辺の帯域分け、空間コントロールをしやすいように、この図のように各楽器を帯域で分類してBUSにまとめています。

間違い、ミスも少なくなり、MIXまとめやすくなりました。ご参考に。
Main Vocalとマスターが2段になっているのは、オートメーションを書いてももう片方でフェーダーを簡単に動かせるようにするためです。
それからオケとMain Vocalのバランスが一瞬で変えられるようになっています。
各バスの中で、さらに帯域かぶりが発生する部分もありますが、中音、高音、広音域は、PANを分けたり同時に鳴らさないようにして分け、低音はサイドチェーンで分けます。
中音とVocalもかぶりますが、中音は空間を広げ、Main Vocalは狭めることで、Vocalが際立つようになっています。
【3. NEUTRON適用方針】
ということで、各トラックにNEUTRON4をさして、自動で調整させたわけだが、めっちゃ処理能力食う!
結構ハイスペックなマシンなのにこりゃひどい!
はじめは、なるべくNEUTRON4に任せて、どうしてもいい感じにならないトラックだけ外そうと思ってたんだけど、逆にして、どうしてもNEUTRON4使わないといい音にならないトラックだけ適用することに。結果的には結構な比率で使うことになっちゃったけどw
適用トラック
・ピアノ、アコギ、ベース、キック、スネア、
非適用トラック
・Vocal、エレキギター、シンバル、ハイハット、タム
Vocalとエレキギターはこれまでの曲で積み上げたノウハウがあって、設定も固まっている。音に十分な自信あるから非適用で。
適用トラックがめちゃくちゃいい音になったのもよかったけど、非適用トラックも自分で十分見直し、調整して結構いい音にできた。
音には絶対の自信もてたし、同じ楽器を使う限り今後はこの設定でいいんじゃないかな。よかったよかった。
【4. OZONEの適用】
各楽器の音がとりあえずいい感じになったかな、という段階で、OZONE11で自動マスタリング調整したんだけど、ジャンル設定がロックだとなぜかぎゃんぎゃんと不快な音に...
いろいろいじってジャンル設定をカントリーにしたら、曲にあった優しい感じになったんで、しばらくその設定で詳細のアレンジ、MIX作業をした。
マスタリングが入っていない状態でMIXしても、最終形が想像しにくいんで、ボクはいつもかなり初期段階にマスタリング設定しちゃうのよね。
それで、各楽器音のエフェクトとアレンジがほぼ完ぺきになった段階で、OZONEに再調整させたら、ジャンル設定ロックでもエモくていい感じに!
コレがOZONEなしの音。それでもそこそこ聴けるところまでは自力で。
そしてコレがOZONE入れた音。迫力違います。
やっぱ基礎的に音がまとまってないとOZONEも威力発揮しないんだなと。
まあ、今後はほぼこのMIXマスタリング設定のままで、作詞作曲アレンジに集中できるだろうから今回だけの話だね。
ということで、MIX、マスタリングも、AI丸投げじゃダメである程度自分で調整は必要とわかった。なんとかうまくできてTest3も大成功。
で、次回は「VocalはやっぱりSynthV GUMI」です。
お楽しみに。
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