ボカロPがアラカンで何が悪い! = 点五P公式

アラカン ボカロPの活動奮闘記!

#348 SynthV初めて使ってみた (ボカロをSynthVに差し替えてみた)

※は2024年1月に付記しました!


【0.はじめに】

今回の新曲"If I Fell In Love With You"でSynthVを初めて使い、そのクオリティの高さに驚愕しました。
しかし、マニュアル、チュートリアルなどの情報が古く、自分がやりたいことを実現するのにどうすればいいのかわからず結構混乱してしまいました。
同じようにボカロからSynthVに乗り換える人のために情報をまとめておきます。
(SynthV GUMI発売を契機に乗り換える人も多いと思います)
なお、SynthVはバージョンアップのスピードが速いようなので、この記述もあっという間に古くなるかも...
その点はご了解ください。

初めてのSynthV曲はコレ!
YouTube

www.youtube.com

ニコニコ動画

www.nicovideo.jp

あ、2'32"からのRadio Voice部分は、Vocaloid V4を使ってます。SynthVだと人間過ぎてイメージ合わなかったので(笑)


【1.こういう人に読んでほしい!】
Vocaloidを使ってきたが、初めてSynthVを使う
・クオリティの高い人間的な歌い方を、手間をかけず実現したい
・操作の慣れたVocaloid V4でデータを作ってから変換したい

(機械的、ボカロ特有な調教を自分でしたい人には向かないです。
今回、ボクもRadio Voice部分はVocaloidを使いましたが、
機械的、ボカロ的にしたい場合はVocaloidのままの方が
いいです。そういうことです)


【2.具体的な手順】
では、今回の手順、注意点を書き記します。
SynthV AI GUMIのケースなので、他の歌声だと条件が異なるかも。

そこはご了解を!

1)インストール、アクティベート
  ⇒購入すれば参照できるマニュアルに記述があるので省略

インストール、アクティベートがすんだら、DAW側でトラックを作ってVSTiとして動かします。

 

2)VSQX取り込み
 ⇒ VSQXは単純な「読み込み」で取り込めます。
「インポート」じゃなくて「読み込み」なので一瞬わからない(笑)

 

3)拍子とテンポの設定
 ⇒現状では自動で取り込んでくれませんでした。
  忘れずに手打ちしましょう。
  デフォルトはなぜか2/2 120BPMで、多分多くの方は全然ちがうかなと。

 

4)小節のずれの補正
 ⇒VSQXを取り込むと、なぜか1小節ずれてます...
    CTL Aで全ノート指定して、ドラッグ&ドロップでずらしておきましょう。

 

5)歌声DBの適用
  ⇒ 各トラック名の下の行に「歌声が指定されてません」と出るので、そこをクリックして歌声を指定。
最初にこれをやらないと何もできません。これもわかりにくい!

 

6)パラアウト
 ⇒ Cubaseの場合はここに記述があります。

【Cubase Tips】『Synthesizer V Studio Pro』のパラアウト設定でメインボーカルとハモリを個別に出力する方法 - MIT STUDIO(エムアイティ・スタジオ) - プロユースレコーディングスタジオ - 東京・港区

逆にコレを読まないとさっぱりわからないと思います(笑)
 Cubase以外もDAW側は普通のパラアウト設定と同じと思いますので類推できるのではと思います。


7)各種設定
デフォルトからどうしても変えておいたほうがいいものは、
「修正」タブ配下の「グループ化の解除」だけだと。
「解除しないとかえって操作がわかりにくい」という情報がWeb上に複数あったので黙って従いました。解除しなかったらどうなるかは正直わかってません(笑)
それ以外はいじらなくてとくに不便、問題はありませんでした。

 

8)自動ピッチ修正について
  古いバージョンでは、適用のために何かしら操作が必要だったみたいですが、最新版はデフォルトで適用されていますので、「とにかく人間的な歌い方にしたい」人は基本何もしなくて大丈夫です。
(古い情報がネット上に多かったので、この事実がわかるのにかえって時間を要してしまった...)

 

9)ボーカルスタイル(歌い方)
⇒ 右のマイクのアイコンをクリックすると歌声の設定タブが出ます。その配下のボーカルスタイルをクリックすると4つのパラメータが出ます。
(Ballade、Cute、Soft、Vivid(=鮮やかさ?))
トラック全体としての設定がトラックごとにここでできます。
これはお好みなのでいろいろいじってみてください。
数値を大きくしすぎると、だんだん人間味が薄れるようなのでほどほどに。

 

10)パラメータ(声質)
ここも、ボーカルスタイルと同様に、数値を上げ下げしすぎると人間味が失われて不自然な感じになりますのでほどほどに。
ラウドネスは音量が大きくなるだけで、大きくすると音割れや音質劣化になってしまったので、0dBのままでDAW側で音量コントロールした方がよさげ。
その他のパラメータをお好みでいじる感じ。
ブレスは普通の歌声の中での息成分の強さで、ブレス(息継ぎ)の音量ではないので注意。
トーンシフトはファルセットのコントロールで、高い声をファルセットにしたくないときは上げる、というものです。


※この「パラメータ」はオートメーションのように値を変化させることができます。ピッチ以外はあまり使わないと思いますが。
ピアノロールの右上に横棒三本のアイコンがあるのでそれをクリックして「パラメータパネルの追加」をするとパラメータ曲線の画面が出ます。

「EDIT」の横のパラメータ名をクリックしてパラメータを選択します。

デフォルトはピッチになるようです。

 

11)ノートの補正
VSQXを取り込んだままだと正しく発音されない場合があり、以下についてはコツコツ地道に修正が必要です。

・しゃくらせるためにノート分割した部分。
分割しないでつなげて、SynthVが自動でつける「しゃくり」に任せた方がより自然になります。(直さなくてもそのとおり歌ってくれますが)
ただし、SynthVの「自動しゃくり」より短くしたいときや長くしたいときは、ピッチをマニュアル修正するよりノートを好きな長さで分割した方が自然です。ボクも聞き比べてしっくりした方にしてます。一部短くしたいところをノート分割のままにしました。

・撥音。小さい"っ"とその後ろのノート。
今回「チャットー」と伸ばさせて歌うようにしてたんですが、勝手に「チャットッ」と短く切られてしまいました。その方が英語に近くて正しいのですが、勝手にやられるのは困る... その時は小さい"っ"(cl)の部分のノートを消して休符にしたところ、VSQXファイルのとおり、「チャットー」と歌うようになりました。
なお、古い情報だと、「Vocaloidの小さい"っ"を取り込んだままにしていると正常に発音できない」という記述が散見されますが、最新版では上記のようなケースを除けば正常に発音されてました全部直す必要はなく、おかしいところだけ直せば十分です。

・発音記号で子音だけにした部分。
VocaloidとSynthVでは発音記号が違います子音だけにしたところは現状では正しく変換されないようです。聞けばおかしいとわかると思いますので点検して打ち直しましょう。
⇒ 発音記号はここに記述があります。

発音記号一覧 | Synthesizer V 日本語非公式 Wiki | Fandom

また、VocaloidとSynthVでは無声化したときのイメージが違うので、子音だけにしなくてもいい場合もありますし、もともと無声化していないところを子音だけにしたらより自然になる場合もあります。全体的に点検してみるといいと思います。

※ノートを指定して♫ノートのプロパティを開けると下の方で子音と母音の強さを別々に0-100%の間で指定できます。カナ英語の語尾なんかは、子音だけにせずに母音を50%くらいに落とすだけでもいい感じになります。このあたりはむしろボカロより便利でわかりやすい!

 

・母音や、"ん"のノートを前の同じ音程のノートに統合?
⇒これはあまりオススメしません。
これをやった方がいい、という記述のあるWeb情報もありますが。
というのは、統合すると、符割が変わってしまうことが多かったからです。
例えば、"あん"と歌わせるのに、"あ"を付点8分、"ん"を16分にしたいのに、統合して四分音符にしたら勝手に両方8分音符にされてしまいました。これをいい具合にSynthV側で調整する方法もあるかもしれませんが、もとのままでも正常に歌ってくれるのでその手間は不要かと。

 

12)英語部分
音節の区切り方のルールが、Vocaloidとは全く違っているので注意が必要です。
ここに情報があります。
⇒ Synthesizer V(SynthV)で英語を歌ってもらう|firmocto(もめんだこ)

 

13)ASIOドライバの変更
ボクの環境だと、普通にSynthVを動かしたらVocalが音途切れやブツブツ雑音が入る現象に見舞われてしまいました。ASIOドライバを ASIO4ALLから、Generic Low Latency ASIO Draiverに変更したところ現象がなくなりました。結構負荷かかってるんですね。バッファーがかなり必要なようです。


14)EQ設定(参考)
これはお好み次第かと思いますが、ボクはボカロに比べて以下を加えてみました。より人間的になったように思います。
カット: 300Hz、2.5kHz、4kHz、5.5kHz
全部若干程度です。
マスターで超高音、超低音をカットしているので、ローパス、ハイパスはかけず、帯域を広げました。


15)純正律補正の適用(参考)
・ボクはボカロにAutoTuneを軽くかけっぱなしにして、純正律補正をかけています。
が、SynthVにAutoTuneかけるとガタガタになったので外しました。
いろいろ調整したらいい感じになったのかもしれませんが... あきらめ。
Cubaseで対応している純正律シミュレート(HMT)の入れ方をボカロとは変えました。
HMT機能を使っていない方は読み飛ばしてください。
ボカロ曲の場合、ピアノ、ギターについては分析オン、チューニングオフで、その他のVST音源で音程のある楽器は全部両方オン、Vocaloidも両方オンにしてます。
ところがSynthVでその設定だと、Vocalが外れて聴こえる現象に見舞われました。
試行錯誤の末、他は全部そのままでピアノについて両方オンにしたところ、違和感が緩和されました。ピアノとVocalが鳴っていることが多いためか、AutoTuneを外した影響か、正確な原因はわかりません... あくまでご参考に。

 

ということで、人間的な歌い方をさせたいボカロPのみなさん躊躇なくSynthVに移行しましょう。

成功を祈る!

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